Lesson9-1 ペットの防災①

大切なペットを守るには

家族の一員であるペット。
犬や猫だけでなく、最近では珍しいペットも多く、その市場は多様化しています。

ペットを災害から守るためには、どのような点に気をつけなければならないのでしょうか。

同行避難が基本

環境省は2013年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を発表。
その後、2018年に「人とペットの災害対策ガイドライン」に改訂されました。

ここではペットを連れた「同行避難」が推奨されています。

2011年に発生した東日本大震災では、残されたペットが多数命を落としました。

放射能の心配から震災後も自宅に戻ることができず、
飼育の継続を断念した飼い主も多数います。

ペットの救助のために引き返し、ペットと共に津波に飲まれたケースもありました。

飼い主と離れてしまった動物たちが、怪我を負ったり、亡くなってしまうといった事例も発生しています。
逆に動物が人を傷つけてしまうこともあります。

さらに、避妊・去勢の未処置による繁殖など、
災害で動物が野放しになることで、地域の生活環境を悪化させてしまうことも心配されています。

これらの対策として、動物保護衛生環境の観点から、
政府はペットは飼い主の責任のもと同行避難を基本とすることを発表しました。

ぺット連れ避難の注意点

ペットを連れて避難する際には、動物の種類や大きさに合わせて適切な方法を選びましょう。

小型犬・子犬、猫など体の小さなぺットはキャリーバッグに入れます。
背負うか肩がけできるものが両手が空き運びやすくて良いでしょう。

中・大型犬サイズはリードをつけて歩かせます。可能なら靴を履かせておいた方が安全です。

リードやハーネスは予備を用意しておくと、避難所等での係留にも使用することができます。

歩けない中・大型犬は、大型犬用リュックキャリーがあれば便利です。

ペットとはぐれてしまった時のために、飼い主の情報を記載した迷子札をつけておきましょう。
同行避難できたとしても、災害のストレスから逃げ出してしまう動物もいます。

犬の場合は鑑札と狂犬病予防注射済票はペットに身につけさせておく義務があります。

無ければ避難所で断られる可能性もありますので、忘れないようにしましょう。

東日本大震災では、首輪しか装着していなかった犬の中で飼い主と再会できたのはわずか0.5%でした。

首輪のみの猫はなんと0%です。

飼い猫には迷子札やマイクロチップをつけておくようにしましょう。

ぺット連れの非常用持ち出し袋は

命に関わる以下のものは忘れずに入れておきましょう。

  • ぺットフード(普段食べているものが良い)
  • 持病の薬
  • 投薬用のシリンジ等

普段から色々な種類のぺットフードを食べ慣れさせておくと安心です。
次に優先順位の高いものが以下の3点です。

  • ペットの写真
  • ペットと飼い主の写真
  • ぺットの健康手帳

写真はぺットとはぐれてしまった際に役立ちます
発見されたペットを引き取る際に、飼い主であることの証明にもなります。

スマートフォンのデータでも保管できていると良いでしょう。

また、予防接種状況や避妊・去勢手術済みであることを示す健康手帳があると、
ぺット連れで避難所に入るときにスムーズです。

ケージはあると便利ですが、重たいのが難点です。
ひとまずは無しで避難し、状況が落ち着き次第取りに戻るという方法も検討しましょう。

以下は避難時に、人にもぺットにも活用できるものです。
是非覚えておきましょう。

  • カッター・テープ類
  • 新聞紙
  • タオルや毛布
  • ペットシーツ・トイレ砂

カッターやテープがあれば、空いたぺットボトルやダンボールから、即席の食器を作ることができます。

新聞紙は寝床や防寒グッズにもなります。
タオルや毛布も同様です。

ケージを覆ってぺットの視界を遮ることで、動物たちのストレス軽減にもつながります。

特にペットシーツの使い道は多くあります

ファスナー付きポリ袋にペットシーツと水を入れれば保冷剤に。
お湯を入れれば湯たんぽになります。

空き箱などにシーツを敷けば人間用の簡易トイレとして代用可能です。
カットして生理用品にもなります。

怪我で出血が多いときには、患部に巻きつけ止血するときにも便利です。

このように一つあれば何通りにも使えるものは、防災グッズとしては非常に重宝すると言えます。

ぺット連れ避難の課題と対策

災害弱者」という言葉は、高齢者や妊婦、乳幼児のことを指しますが、
ペットもこの中に含まれると考えるべきでしょう。

飼い主にとっては我が子同然のペットですが、
いざ避難所で貴重な水を配るとなると、ペットの飲み水は優先されるでしょうか。
優先順位は低くなると思っておいたほうが無難です。

このようにペットとの避難は課題が多いのが事実です。

台風や大雨など、事前に注意喚起され、予測がつきやすい災害に見舞われる場合もあります。
そのような場合、早めに安全な場所に身を移す「予備避難」で対策をとりましょう。

ペットと一緒に過ごせる宿泊施設を事前に把握しておくと良いでしょう。
親戚や友人宅に避難させてもらうのも一つの手です。

同じ種類のペットを飼っている家庭であれば、お世話にも不便なく過ごすことができます。

日頃から取り組める防災はモノの準備だけではありません

ご近所同士の付き合いや、お散歩中に出会うぺット友達、
動物病院やぺットサロンの方々とも良好な関係性を築いておきましょう。

困った時には心強い協力体制になるはずです。


同行避難の重要性と、ぺットと一緒に避難する時のイメージはできましたか?

続いては、災害が起きた時に取るべき行動や避難生活について学んでいきましょう。