Lesson12-2 感染症と災害②

感染症を防ぐ衛生対策

衛生対策を考える上で欠かせないのがトイレと口腔ケア。
その重要性や災害用トイレの種類について詳しく解説していきます。

感染症とトイレ

お風呂や歯磨きなど体を清潔に保つことは、健康維持に重要な要素です。

その中でも排泄はいつまでも我慢することはできません。
我慢すると体調の悪化にもつながります。

また、感染症にかかると、体内のウイルスが排泄物とともに体の外へ出て行きます。
トイレを共有することで感染症が広まりやすい状況になってしまうのです。

とは言え、自宅のトイレが使えなくなってしまったら避難所での生活を検討せざるを得ません。

しかし、避難所の仮設トイレの設置率は、災害発生から3日以内で3割程度
2週間以内で8割程度とすぐには使用できないのが現状です。

自宅に留まることができても、ライフラインが停止していればトイレは使えません。

断水時に汲み置きした水があっても、断水の原因が判明するまでは水を流すのは厳禁です。
下水管や排水管に損傷があれば、排泄物が混ざった水が溢れ出してしまうからです。

避難所で生活するか否かに関わらず、感染症という二次災害を発生させないためにも、
災害用トイレの備えは必須なのです。

携帯トイレの種類

携帯トイレは、元々ある便座に袋を被せるなどして使用するタイプです。

粉末凝固剤

便器にポリ袋などを被せ、排泄後に凝固剤を入れます。
コンパクトで価格も安く、大量備蓄に向いています。

タブレット凝固剤

便器にポリ袋などを被せ、凝固剤を入れてから排泄します。
粉末よりは場所をとりますが、それでも大量備蓄が可能です。

シートタイプ

便器にシートを被せて排泄します。
使い方がシンプルで高齢者でも使いやすいです。

携帯トイレがなければ新聞紙とポリ袋で代用できます。
便器にポリ袋を2重に被せたら、新聞紙をくしゃくしゃにして袋の中に敷き詰めます。

排泄後は消臭効果のあるものをかけ、内側のポリ袋を縛って廃棄します。

猫の尿はアンモニア臭が強いため、猫用のトイレグッズは強力な消臭効果があります。
猫砂の活用もおすすめです。

簡易トイレの種類

簡易トイレは、便座が無くてもどんな場所でも目隠しがあれば使用できます。

袋タイプ

凝固剤が入った袋に直接排泄します。
袋にはファスナーがついているので、後処理も簡単です。

災害時だけでなく、アウトドアや車酔いなどの嘔吐物の処理にも便利です。

組み立て式タイプ

プラスチックや段ボール製の組み立て式があります。
保管は嵩張りますが、袋や凝固剤を多く備えておけば繰り返し使用できます

自宅避難でもトイレ問題、特に臭いの問題は相当なストレスとなります。

簡易トイレでも大人の人数分を用意しても良いでしょう。
男性用と女性用に分けるのも一つの手です。

また、携帯トイレと簡易トイレの両方を備えておけば、
トイレのある場所でもない場所でも排泄に困ることはないはずです。

家族の状況や備蓄量を考えて適切なものを選択できるようにしてください。

口腔ケア

Lesson10でも学習したように、口の中の雑菌が繁殖すると肺炎リスクが高まります
誤嚥性肺炎は高齢者に多いと説明しましたが、誰にとっても悪影響なのは間違いありません。

避難生活を機に虫歯や歯周病になってしまうことも多くあります。
何より口腔内がウイルスが生き延びやすい環境になってしまうため、
災害時でも感染症対策として口腔ケアは必須です。

ポイントは水なしで歯磨きができるように備えることです。

  • 歯ブラシ
  • 液体歯磨き
  • ハンカチ
  • 口腔ケア用シート

液体歯磨きだけでは歯垢は取れません。
歯ブラシは持っておいた方が良いでしょう。

水が無くすすげない時に、液体歯磨きを代用する方法もあります。
歯ブラシが無ければ、ハンカチに液体歯磨きを含ませて磨くと良いでしょう。

水や歯ブラシがなくても歯磨きができる、専用のシートも売られています。
口腔内を清潔にできると気分もスッキリ明るくなれます。


我慢がきかないトイレも、我慢がきく歯磨きも、どちらも感染症対策には大切です。
避難所で集団生活を送るなら尚更重要な部分です。

現代では、防災においても感染症対策に重点を置かねばならないものだということが
しっかりと理解できましたか?

以上で、防災コンシェルジュ講座で学ぶ内容は全てとなります。
学んでいる間に、意識が大きく変わったという方も多くいるのではないでしょうか。

不安なところがある場合には、しっかりと復習をするようにしてください。