Lesson12-1 感染症と災害①

感染症という災害

昨今、耳にしない日はないウイルスという言葉。

新型コロナウイルスは、人の動きや経済活動を止め、私たちの日常を簡単に狂わせました。
その非常事態は長期化し、もはや災害レベルだと言えるでしょう。

このような状況で、さらに自然災害が起きたら?

感染症という災害に対してできる備えについて考えていきましょう。

感染症の脅威

インフルエンザ、ノロウイルス、感染性胃腸炎。

被災時は衛生環境が悪くなり、食事からの栄養も不足してしまうことから、病気になりやすい環境です。
そして避難所という場所は、人が集まり、感染症が一気に広がりやすい状況にあります。

防災と感染症対策は切り離すことのできないものとなりました。

日常で行うべき感染症対策を身につけたうえで、それを被災後も継続するために
必要なことを考えていきましょう。

対策の基本

感染症対策の基本は手洗いうがいです。
コロナ禍でなくても大切な当たり前のことです。

基本の手洗い

  1. 石鹸を使って10秒間洗う
  2. 15秒間流水ですすぐ

基本のうがい

  1. 口をゆすぐ
  2. ガラガラうがいを2回
  3. ブクブクうがいを1回

本当にシンプルな方法で十分です。

石鹸がなければ、アルコール消毒をするように心がけましょう。
それもなければ流水のみの手洗いだけでも、何もしないよりは良いです。

災害時に水は貴重ですので、消毒液を別途用意しておくと安心です。


手の中で最も汚れる場所は指先です。
次に親指と人差指とその付け根の辺りです。

手の側面手首も知らず知らずのうちにいろいろなものに触れています。
いずれの手洗い方法でも意識して洗う習慣にしておきましょう。

ガラガラうがいでは喉の奥を洗います。
その際奥にいたウイルスが口の中に戻ってくるので、口の中だけもう一度洗い流す必要があります。

手を保湿する

ガサガサの手は、手の表面に傷ができている状態。
そのため隙間からウイルスが入り込みやすく、感染リスクを高めてしまいます。

消毒液でも手が荒れやすいので、手洗いと保湿をセットで習慣化しましょう。

マスク

現代の私たちにとって、マスクは生活の一部になっています。
今一度正しい取り扱いを確認しましょう。

  • 口と鼻も必ず覆う
  • 外す時はマスクの外側に極力触れないように、耳にかけた紐を持って外す
  • 捨てる時は、外側を中に入れ込むように折り畳んで捨てる
  • 帰宅後は玄関などでなるべく早く捨てる

ウイルスは手に付いただけでは感染しません。

ウイルスが付いた手で、目や鼻、髪などに触れてしまうことで、体内にウイルスを取り込んでしまうのです。
マスクには、手を顔に触れさせない効果もあるとされています。

スマートフォンを綺麗に

家の外でも中でも触れるスマートフォンには、ウイルスがたくさん付着していると言われています。
移動中も常に手に持っているという人も多いのではないでしょうか。

特に外食や人と会話をするときにスマホを出していることで、周りの人の飛沫を浴びていることも。

消毒と言っても、ティッシュなどで乾拭きするだけで大丈夫です。

災害時にも情報収集や連絡手段として欠かせないスマートフォン
感染の媒体にしないよう、綺麗を保ちましょう。

コロナ禍での避難生活

今の避難所は、密を避けるために収容人数を減らしています。
そのため避難所に辿り着いても入れない人が、今まで以上に多くなります。

つまり、自宅避難の必要性がますます高まっているのです。

しかし、自宅に危険が及んでいるなら、自宅避難にこだわる必要はありません。
命を守るための選択をしましょう。

事前に予報がある台風などの水害の前には、備蓄を十分にしておくか、事前避難を検討してください。
Lesson7で学習した避難の必要性の見極め方を十分理解しておきましょう。

コロナ禍での避難所での注意点

三密(密閉・密集・密接)を避けながら、避難所で集団生活を送る場合、
一体どのようなことに注意すれば良いでしょうか。

マスクは常につける

就寝時にもつけておきましょう。
口を開けて寝ていると口腔内が乾燥し、ウイルス感染リスクがぐっと高まります。

また、平常時よりも眠りが浅くなることが口を開けて寝る原因になると言われています。
深い眠りが取れるように、アイマスクや耳栓などの工夫をするようにしましょう。

会話は同じ方向を見て

感染予防の観点から会話は控えなければなりませんが、ずっと黙って過ごすのは、やはりとてもストレスです。
ストレスを感じると免疫力も下がってしまいます

心の平和を保つためにも、適切な方法でコミュニケーションをとりましょう
マスク越しでも、目が合わなくても、想いは伝わるはずです。

癒しグッズは必需品

避難所生活は思っている以上に気を遣い、ピリピリしてしまうことも。
アロマオイルやお気に入りのものなど、心を癒すグッズを持っておきましょう。

笑うことも免疫力アップになります。

不要不急なものと感じる必要はありません。
ネガティブな気持ちを無くすことは、健康維持にとって大変重要です。


災害下での感染症対策も、日常的なことを維持するという防災の基本と考え方は変わりません。

最後に衛生対策について詳しく解説していきます。