Lesson7-1 災害時の生き残り方①

地震が発生したら

災害が発生した時に、どんな行動を取るかによって、その後が大きく左右されます。
地震の場合に取るべき行動とは一体何なのでしょうか。
具体的に考えていきましょう。

延髄を守る

何よりもまず頭を守ることが大切です。

延髄と言う首の後ろの部分を落下物から守る、ダンゴムシのポーズを行い、揺れが収まるまで待ちましょう。

ダンゴムシのポーズ

  1. 首の後ろで手のひらをクロスさせ、延髄を覆う
  2. そのまま床に膝がつくようにしゃがむ
  3. 手をクロスさせたまま肘と後頭部が床につくように丸くなる

延髄は脳幹の一部で、主要な神経や太い血管が通る重要な部分です。

頭のてっぺんだけでは不十分。首の後ろを守ってください。

「ダンゴムシ」というワードで理解しやすいポーズなので、3歳頃から一緒に練習することができます。
それよりも小さな子供は、うつ伏せの状態で太ももの間に体を挟み込ませ
その上から覆いかぶさるようにポーズを取って守ります。

太ももの隙間はやや広めに取れば、窒息を防ぐことができます。

アイテムを使ったポーズ

咄嗟の行動で、持っていた鞄や本などで頭を守る方も多いかと思います。
しかし、そんな単純な行動でも一歩間違えれば命取りになってしまいます。

下記に注意して正しく守りましょう。

  1. 鞄は頭から10センチ程度離して持つ
  2. 手首は90度に曲げる
  3. 脇はしめる

鞄などのアイテムが頭に触れていると、落下物の衝撃が頭に伝わってしまいます
手首の角度も間違えると傷めてしまう可能性があります。
安定させるために脇はしめましょう

被災場所別の避難行動

自宅で地震

一番危険なのがキッチンです。
キッチンで揺れを感じたら、倒れる物のない安全な部屋へ移動し、ダンゴムシのポーズで頭を守りましょう。

テーブルなど、落下物の危険がなく潜り込めるところでも良いです。
キッチンの火は自動で止まるので、慌てて消しに走る必要はありません

職場で地震

デスクの下に潜り込んで、ダンゴムシのポーズを取りましょう。
揺れが収まれば避難します。

職場は自宅よりも書類などの物が多い上に、出しっぱなしの状態であることもよくあります。
地震ではこれらも落下物となり凶器と化します。

職場でも日頃から身の回りを整理整頓しておくことが大切です。

屋外で地震

屋外で地震に遭った場合は、落下物に特に注意が必要です。
外には信号や看板、標識など、頭より高いところにたくさんの物があるためです。

落下物の危険を察知した場合は、揺れが収まるのを待たずにすぐに避難すべきときもあります。
車が通っていなければ、道の真ん中に出るのも一つの方法です。

地下で地震に遭った場合は、地上を目指します
慌てて出口に人が殺到すると危険です。

落ち着いて行動しましょう。

買い物先で地震

スーパーやデパートには大量の商品が陳列されています
揺れを感じたらまず頭を守るために、ダンゴムシのポーズを取ってください。

スーパーでは買い物カゴが防災頭巾の役割を果たしてくれます。
店員さんの指示に従って焦らず避難しましょう。

地震の種類を判断する

地震には2種類のパターンがあります。
直下型」と「海溝型」です。

これらは緊急地震速報が流れるタイミングで判別することができます。
判別ができれば、その後の取るべき行動のヒントになるのです。

直下型

突然、ドンと突き上げるような縦揺れの後、緊急地震速報が鳴ります。
揺れは1分以内の短いものです。

揺れるエリアの範囲は狭く津波の心配はありませんが、
揺り返しの可能性があるため、建物の倒壊に注意が必要です。

自宅に損傷があるなどの倒壊の心配がある場合は、揺れが収まればすぐに避難しましょう。

海溝型

まず緊急地震速報が鳴り、その後緩やかに揺れはじめます
揺れは徐々に強くなり、2~3分程度長めに揺れるのが特徴です。

揺れるエリアが広範囲で、津波の可能性があります
水辺に近い場合は直ちに高台へ避難しましょう。

東日本大震災は海溝型、熊本地震は直下型でした。

前者では津波による甚大な被害が発生しました。
後者では家屋の倒壊による犠牲者が全体の7割と、それぞれの被害がその種類の特徴を象徴しています。


以上で解説した通り、地震においては、とにかく落下物から頭を守ることが大切なのです。
揺れの種類を判別できたら、その後は落ち着いて行動しましょう。

それでは地震以外の災害ではどうでしょうか。
次のページで解説していきます。