家の中の安全性を高める（２）

一番危険が潜む場所

それは意外にもキッチンなのです。

包丁、ハサミ、フォーク、高温のフライパン。
特に地震が発生した場合には、飛んできて怪我をしかねません。

足を怪我してしまうと逃げることができなくなります。
台所での必需品は、いざというときに凶器へと変化するのです。

これから家の中を見直そうという人は、まずはこの場所から始めましょう。

チェックポイントは以下のとおりです。

安全だと言える収納法は、上に軽いものを置き、下に重いものを置くという方法です。

例えば、冬用の大きな鍋など、重さがあっても使用頻度の低いものは
上の方にしまいがちではないでしょうか。
震度5以上の地震の場合、揺れで上から物が落ちてきてしまうので、防災面では危険なのです。

頂き物の高価なお酒は特に注意です。
落下して瓶が割れ、火がついてしまったら…。
火災という二次災害の危険が発生してしまいます。

普段あまり使わず奥にしまっている物の収納は、見落とさないように注意が必要です。

キッチンに必要不可欠な食器類。
割れない素材のものだけで揃えるのも一つの方法ですが、
安全な収納ができているか今一度チェックしましょう。

食器は見せる収納よりも、引き出しに収納する方が割れにくいです。
大原則のとおり、なるべく低い位置の引き出しにしまうのが安心です。

戸棚のある食器棚であれば、耐震ラッチが付いているか確認しましょう。
大きな揺れを感知し、扉をロックしてくれます。

無ければ外側にロックをつけれていれば大丈夫です。
子どものいたずら対策用に100均で売られている物でも効果があります。

引き出しも扉付きの収納もないシンプルなラックの場合は、
プラスチックケースなどを幾つか用意して引き出しのように使うなどの工夫ができていれば安全です。

ラックにそのまま収納するのは無防備で危険なので絶対に避けてください。

また、お皿は中→大→小の大きさ順で重ねて収納すると、揺れても滑りにくくなります。
これは今日からでもすぐに改善できるポイントです。

キッチンで危険なのは、鋭利なものや割れやすいものだけではありません。
家の中でも大型な家電が集まる場所だということも危険要素のひとつです。

家電を動かないようにする対策の一つが、滑り止めシート(耐震シート)の活用です。
樹脂やコルク製のシートを下に敷いておくだけで、動きにくくなります。

冷蔵庫の場合はさらに、天井までの余白部分を埋めるとより安定します。
上に重たいものを置くのは危険なので、段ボールなどの空箱に中身を詰めてスペースを埋めると良いでしょう。

その他の家電は、なるべく低めの位置に移動できると安心です。
腰よりも下の高さが目安となります。

地震の揺れにより動いた物で怪我をし、避難できなくなってしまうこともあり得ますので
これらは防災において重要なチェックポイントです。

人生の約3割を過ごすとも言われる寝室。

阪神・淡路大震災は午前5時46分、大阪北部地震は午前7時58分に発生しており、
いずれも寝室で過ごしていた人が多い時間帯です。

就寝中に災害が起こってもすぐに行動するのは難しいため、家具の配置には十分注意が必要です。

このようなポイントをチェックしてみてください。

寝室はリラックスしたい空間であるため、好きな物を飾っておきたい方もいるでしょう。
その際は寝ている頭上は避けましょう。

家具の位置は、寝ている場所やドアの前に何も倒れないようになっていますか？

阪神・淡路大震災では約8割が圧死。
これらは生死を分けるポイントでもあるのです。

また、いざという時に避難する道を閉ざされては危険です。
ドアは最大限開くようになっているか確認しましょう。

家庭によっては寝室が2階以上で玄関まで距離があったり、家族が別々の部屋で就寝していることもあります。

深夜の災害で停電してしまっては、様子を見に行くにも危険があります。
こんな時には懐中電灯や、足を守るための靴やスリッパがあると役立ちます。

さらに、就寝時には必ずカーテンを閉めるようにしておけば、窓が割れてもガラスの飛散を防止してくれます。

大型家電や家具の位置には十分注意が必要であるということが理解できたでしょうか。

ここまでは家の立地や、家の中の環境をチェックしてきました。
続いては、視点を変えて災害別に自宅を確認してみましょう。