Lesson5−5 自宅は安全なのかチェックしよう⑤

家の中の安全性を高める(1)

災害に強い家とは、家そのものの性能だけではありません。
家に入ってからの環境も大きく影響します。

日常的な備えができているかどうかで、被害状況や生死が左右されるのです。

あなたの自宅は本当に安全ですか?

家族と過ごすリビング

リビングの安全確認ポイントを見てみましょう。

  • 無駄な物を置いていないか
  • 定位置管理ができているか
  • 本棚の対策はできているか

スッキリと片付いた部屋は安全性も高くなるのです。

物が多いほど危険

リビングには大型の家具や、家族で共有するものを置いている人も多いかと思います。
各々が物を持ち込むことも多いため、部屋が乱雑になりがちです。

しかし、物が多いというだけで家の防災力は下がってしまいます

文房具など細々したものでさえ、床に散乱すると怪我の恐れがあるのです。
普段の暮らしでは想像できませんが、それが災害時の非常事態なのです。

不要なものは処分し、本当に必要なものだけが置かれているか確認しましょう。

使ったら元に戻す

物を減らせても、出しっぱなしでは危険なままです。
必要なものをすぐに取り出せる状態が保てているかチェックしましょう。

ものの定位置を決めて、使用後は都度その場所に戻す習慣をつけておくことが大切です。

リビングには家族それぞれが自分のものを持ち込むこともあるので、各々が元に戻す習慣をつけるようにしましょう。

なるべく見せない収納を心掛け、出したままの方が便利な場合は、
災害時のことを考え、極力低い位置に置いたり、揺れで飛び出さないように収納しましょう。

災害時は本も凶器に

本棚が倒れ、何十冊もの本の下敷きになると命が危険にさらされることさえあります。

本棚は固定し、冷蔵庫同様、天井との間を埋めておきましょう
滑り止めシートを敷いてから、本を並べるようにすると揺れに強くなります。

本と本の間に隙間があると動きやすいので、
敢えて横幅いっぱいまで詰めておく方が良いです。

扉付きのものだと一見心配ないように見えますが、
ガラス扉だとかえって危険なので避けた方が良いでしょう

家族みんなで過ごすことが多いリビングだからこそ、安心して過ごせるように整理整頓が大切です。

洗面所、トイレ、お風呂

鏡と細々としたものが多いエリアです。
過ごす時間はそれほど長くないようにも感じますが、しっかりと対策するために安全性をチェックしてみましょう。

  • 無駄なものはないか
  • トイレに物を飾り過ぎていないか
  • 戸棚は物が飛び出しにくい収納になっているか
  • 鏡は固定されているか

ストックは最小限に

小さな日用品を使用する場所であるため、ストックを保管している方も多いかと思います。

怪我をしないようなものでも、散乱すると避難の妨げになります
また、細々したものを片付けるのも労力がかかります。

過剰なストックは控え、最小限のストックは散乱しないように安全に収納できているか確認してみてください。

トイレ

トイレにインテリアとして何か飾っていたり、本を置いている人もいるでしょう。
それらは飛び出して落下しないよう収納できていますか

また、「地震が起きたらトイレに逃げろ」と耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、
トイレには窓がない家庭も多く、閉じ込められるリスクがあるため決して逃げる場所にしてはいけません

戸棚収納

トイレの背面収納や、洗面化粧台の棚、浴室内の棚には、日用品や化粧品などが収納されているかと思います。
中にはガラス容器のものもあるかもしれません。

扉がある場合は、耐震ラッチの確認をしましょう。

扉のない場合には、重さに応じた位置への収納や、滑り止めシートを活用して、
物が飛びださないような対策ができているか確認することが大切です

トイレ、洗面所、お風呂は大きな鏡がある場所ですね。

鏡が割れると破片が飛び散り大変危険です。
鏡がしっかりと固定されているか点検しておきましょう。

また、当たって割れそうなものが周りにないかチェックしましょう。
飛散防止シートで対策できていると安心です。

玄関と廊下

玄関を突破できなければ避難することはできません。
廊下は玄関までの避難経路です。

次の項目をチェックしてみてください。

  • 出しっぱなしのものはないか
  • 非常用持ち出し袋は備えてあるか

やはり物が多いと避難の妨げになってしまうので、物の出しっぱなしは避けましょう。

ベビーカーや子どもが外で遊ぶおもちゃ、ゴルフバッグなど、玄関に置いておくと便利なものは意外と多くあります。

気づけば玄関が物で溢れてはいませんか?
不要なものは処分し、必要なものをきちんと収納できるよう見直してみましょう。

詳しくは後述しますが、被災時に最低限持ち出すものは玄関に置いておいてあるのが望ましいです。
家の外で被災した際に、家の中まで踏み込めなくても
玄関先までなら入ることができる可能性が高まるためです。

玄関が靴でいっぱいになってしまったり、廊下にとりあえず置いたものをそのまま溜めてしまわないよう、
ここでも定位置管理を心掛けましょう。


家の中の安全性は物の量と整理整頓で決まることがわかりましたね。

では、キッチンと寝室の安全性はどうでしょうか。
次のページでしっかりと考えていきましょう。