耐震性と耐風性のある家に
Lesson2でも学習したように、
地球温暖化の影響で台風の巨大化による被害が頻発するようになりました。
大地震だけでなく、台風や豪雨でも日常を取り戻すまでに長い月日が必要になることも増えてきています。
防災を考えるならば、自宅は耐震性だけでなく、
耐風性も考慮した住居であることが大切なのです。
耐震性を確認しよう
自宅が地震に強いかどうか判断するのに、まず確認すべきなのはいつ建てられた家かということです。

1981年6月に建築基準法が大きく改定され、震度6〜7の揺れで倒壊しないという基準が設けられました。
この時に定められた基準は新耐震基準と呼ばれています。
建物が完成したのが1981年6月以降でも、設計は旧耐震基準の場合もあるので注意しましょう。
阪神・淡路大震災(1995)での被害状況から、木造住宅については2000年にも改定があり、
地震など水平に力が加わっても歪まない耐力壁の量や配置など、
耐震性を高めるためのルールが追加されました。
阪神・淡路大震災での死因の約8割は、家屋の倒壊による圧死や窒息死でした。
熊本地震(2018)でも、 倒壊した家のほとんどが、新耐震基準より前に建てられたものだったことがわかっています。
自宅の耐震性が低いということは、揺れに耐えることができたとしても、
避難所など自宅以外の場所で避難生活を送ることになるでしょう。
せっかく必要な物資を備えていたとしても、活用できず終いです。
これまでの災害によるダメージがある家や、どこか不安な箇所があればすぐに補修しておくべきです。
専門家に耐震診断を依頼することも可能です。
自治体から改修工事費を助成してくれることもあるので、役所で相談してみても良いでしょう。
耐震、免震、制震構造
マンションの場合は、外観がシンプルなほど耐震性が上がります。
L字やコの字型に曲がっているより、箱型の方が地震の揺れに強いと言えます。
また、建っている地盤の強さにも左右されます。
他にも、耐震構造や免震構造、制震構造を用いて対策を行っているマンションがあります。
これらは一見どれも同じ意味に見えますが、違いがあります。
耐震構造

柱や壁や梁で建物を強化する構造。
揺れが建物に伝わりやすいが、崩壊することのないように建てられます。
免震構造

基礎部分と建物の間に免震装置を設置する構造。
装置が揺れを吸収するので、建物の被害が少なくて済みます。
制震構造

建物の要所要所に、揺れを吸収する装置を入れ込む構造。
揺れを小さくできるので、高層な建物に多く採用されています。
自宅の構造を知れば、地震が起こった時にどのように揺れるのか予想を立てることができます。
いざというときに慌てずに行動することができるでしょう。
耐風性を確認しよう
2階建てよりも平屋。
家の高さが低いほど耐震性と耐風性は高いと言えます。
猛烈な風が吹き荒れた時、危険なのは窓と物です。
- 雨戸があるか
- 窓の近くに倒れそうなものは無いか
- 屋根に損傷は無いか
- 軒裏は固定されているか
上記のようなポイントをチェックしておくと良いでしょう。
窓

窓が割れてしまうとガラスの破片で怪我をしてしまう可能性があるのに加えて、
割れた部分から雨風が吹き込んできます。
飛散防止フィルムを貼って、ガラスが割れても飛び散らないように対策をしましょう。
大型台風では、その風圧で屋根ごと飛ばされることもあります。
風で物が飛んでくる可能性も。
そんな時には雨戸があると安心です。
雨戸は後付けすることも可能なので、特に雨戸の無い戸建ての場合は検討することをお勧めします。
窓付近に植木鉢を置いていたり、倒れそうな家電や家具がないかどうかも要確認です。
実際に窓が割れた事例を見てみると、風そのものより物が当たったことで割れることの方が圧倒的に多いためです。
家の外も同様で、強風で物が吹き飛ばされると非常に危険です。
自分の家を守るためだけでなく、他人の家を破損させてしまう可能性もあります。
普段なら外に出したままでも問題ないですが、
台風接近の時には家の中や納戸にしまって、耐風性を向上させましょう。
屋根

屋根は常に日光や雨や風に晒されているので、劣化しやすい部分でもあります。
損傷があると、台風の風と雨がさらに悪化させてしまう可能性があります。
ひどくなる前に補修しておきましょう。
軒裏とは、戸建てで外壁から飛びてている屋根の部分のことを言います。
ここが弱いと、強い風が当たることで屋根が飛ばされてしまいます。
築年数の古い家であれば、軒裏には釘を打っているだけであることが多いので、
より頑丈な金具でしっかりと固定するようにしましょう。
このように災害に備えるためには、
家の中だけでなく、庭や屋根など家の外側も忘れずに対策することが重要なのです。
次のページからは、自宅の断熱性を確認していきましょう。