Lesson5-1 自宅は安全なのかチェックしよう①

さて、今回からのLesson5では、より防災の知識を深めていくために、
誰にとっても1番興味深いであろう自宅の安全性のチェック方法を学んでいきたいと思います。

自分の家は安全なのか。災害時にはどのように行動すれば良いのか。
それをしっかり学んで身につけていきましょう。

災害に強い立地を知る

防災と聞いて、まず物の備えを思い浮かべる人は多いでしょう。

ですが、誰もが同じ備えをしておけば必ず助かるというわけではありません。

自分の住むエリアにどのような特徴があり、どんな災害に気をつけるべきなのか。
そして、その起こりうる災害に、自宅は耐え切れるのかどうか、まず知ることが大切です。

ハザードマップとは

自分の住む地域の災害リスクを知るには、ハザードマップが役に立ちます。

地震や河川の氾濫、高潮が発生した際に、震度や浸水する程度によってエリアの危険度を示した地図です。
ここには災害時避難所、水害時避難所、水害時避難ビルなども記載されています。

高台に住む人が、水害の備えを手厚くしても、あまり効率的ではありません。
海のそばに住んでいるのであれば、津波、高潮、台風など、様々なシーンを想定する必要があります。

備えるためには、自分の土地の弱点を把握しなければならないのです。

ハザードマップは役所でもらうことができる他、自治体のウェブサイトでも閲覧、ダウンロードが可能です。

国土交通省のハザードマップポータルサイトからも確認できます。
住所を入力すれば、簡単に自宅付近の地形の特徴や災害リスクの情報が得られます。

ウェブ上では洪水、土砂災害など、マップに表示する条件を変更しながら閲覧することができるので便利です。

さらに、地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)も公開されています。

これは洪水浸水想定区域に特化したもので、河川名からも検索可能となっているのが特徴です。

一つの河川でも、様々な地点で決壊した場合の浸水をシミュレーションすることができるので、
ハザードマップよりも、詳細な情報を得ることができます。

一度、自身の地域のハザードマップやシミュレーションを見てみましょう。

ハザードマップの確認

ハザードマップポータルサイト

ハザードマップでは危険度に合わせて地域を色分けしています。

色がついていないところが最も安全です。
色がついていなければ、避難せずに自宅で過ごせる可能性が高いと言えます。

まずは自宅付近の災害リスクの確認です。どの種類の災害の危険があるのかチェックします。
職場や学校、普段よく行く場所も同様に確認しておきましょう。

それぞれの場所で災害に遭ったらどこへ行くべきなのか、
安全な場所とそこまでの道のりをチェックすることも忘れないようにしましょう。

2020年には、不動産契約時にハザードマップで災害リスクを説明することが義務付けられました。
自身が住む場所に関する災害知識を持つことがこれからの常識であると言えるでしょう。

できれば契約以前の物件選びの段階で、ハザードマップと照らし合わせながらリスクを最小限にできるのが良いですね。

ハザードマップの注意点

地図上で自宅の危険度が低いとわかったからと言って、安心して良いというわけではありません。
ハザードマップに記載されていることが全てではないからです。

多くは最大規模の被害を想定しているため、その発生確率は1000年に1度とされています。

これはあくまで想定であり、その1000年に1度レベルをも超える規模も同様に発生しうるということを忘れてはいけません。

しかし実際に、東日本大震災において、地域の津波被害状況を調べたところ、
ハザードマップ上で危険度が高いエリアより、低いエリアの方が被害が大きかったことがわかりました。

海の近くに住む人でも逃げ遅れて津波に飲まれてしまった人々が多数いました。
ハザードマップで危険度が低いという認識が、逆に避難を遅らせてしまったという悲しい事実もあるのです。

ハザードマップを全ての想定をカバーした絶対的なものと捉えてしまっては危険です。
示されるよりも小さい規模の災害の方が、発生確率はずっと高いわけです。

重要なのは、マップが示すことを理解した先の、人々の備えと避難行動と言えます。
正しく内容を把握し、自分自身に必要な備えを考えていきましょう。

ハザードマップの課題

残念ながら、ハザードマップはまだまだ認識がされていないというのが事実です。

平成30年西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県の真備地区の例を見てみましょう。

この豪雨で被災した人を対象に実施された調査では、4人に1人がハザードマップを知らないと回答。
全体の75%の人にはマップの認識がありましたが、理解できていると答えた人はその3分の1程度でした。

災害の度に、その存在が少しずつ知られていってはいますが、まだまだ常識レベルまで浸透しているとは言えません。

実際に被災していないと、想像だけで危険に備えるのは難しい部分もあるのは致し方ないかもしれません。

防災を学ぶ皆さんには、ぜひ自分の地域のことを理解し、近くの人に話してもらいたいです。
それがきっと自助、共助への一歩となるでしょう。


自宅付近の土地について理解ができたら、次は自宅そのものに目を向けていきましょう。

続いては、災害に耐えることができる家とはどんな家なのか、学んでいきたいと思います。