エネルギー資源の変化
自然エネルギーへの期待

世界を震撼させたのが、安全だと言われていた福島県の原子力発電所の被災。
それまで期待されていた原子力発電が世界中で不安視されるようになるほどの爆発事故でした。
原子力発電は温室効果ガスを排出しない発電方法であることから、地球温暖化対策の一役を担っていました。
元々エネルギー資源の乏しい日本では、新たな原子力発電所の建設計画も幾つかありましたが、
当面の間はストップされることが決まっています。
現在は原子力発電への依存度を下げ、他の資源からエネルギーを確保することが必要とされています。
そこで、日本の電力供給は見直され、再生可能エネルギーへの期待が高まっています。
再生可能エネルギーにはどんなものがあるのか解説していきます。
太陽光発電
太陽光をソーラーパネルの半導体に当てることで発電する方法。
建物の屋上や住居にも取り入れられています。

風力発電
風で風車を回す回転運動から発電する方法。

地熱発電
地面の奥深くのマグマの熱で作られた蒸気から発電する方法。

水力発電
水が流れるときのエネルギーから発電する方法。

バイオマス発電
不要となった木材やゴミ、家畜の糞など、動植物を燃やしたりガス化して発電する方法。

自然エネルギーとも言われるこれらの資源は、温室効果ガスを排出しないだけでなく、国内で調達が可能です。
一部は発電量が天候に左右されてしまったり、コスト面での課題はあるものの、我が国の発電における再生可能エネルギー発電の割合は、飛躍的に伸びています。
東日本大震災発生前の2010年では、約10%でしたが、2020年には約23%を占めているのです。
これは政府が2030年までの目標としていた数字ですので、いかにその割合が短期的に飛躍的に伸びたのかがわかるはずです。
現在政府は再生可能エネルギーによる電力供給を、2030年には全体の30%まで引き上げたいとしています。
「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」
長期的な電力不足を機に、各家庭にもますます省エネルギーが求められるようになってきました。

2013年には省エネ基準が改正され、家を建てる際の断熱性や一次エネルギー(石油・石炭・水力など)の
消費量の基準がより高い水準になりました。
その中の基準の一つであるZEH(ゼッチ)は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。
例えば太陽光発電などでエネルギーを生み出すことができ、
尚且つ効率良くエネルギーを消費できるようにした住宅のことです。
「創エネ」しながら「省エネ」する家ということですね。
また、「創エネ」したエネルギーを備蓄しておくことで、
ライフラインの供給がストップしてしまった被災時でも、少しの間しのぐことができます。
最近ではこの「蓄エネ」を取り入れる住居も増えてきています。
エコでありながら防災にもなる、新しい住宅基準へと変化を遂げているのです。
- LED照明
- 家庭用蓄電池
- 太陽光発電システム
なども、以前より非常にメジャーになってきました。
他にも、今の火力発電の温室効果ガス排出量を減らし、より環境に配慮したものにすることや、
省エネを推進することで電力の需要そのものを削減するといった取り組みがなされています。
東日本大震災での原発事故から10年が経ち、未だその爪痕が残る部分もありますが、
あの日の経験を活かした新しいエネルギーによる電力確保の進歩は確実に進んでいます。
次のセクションでは、防災の取り組みにおける変化についてより詳しく見ていきましょう。