Lesson2-1 近年の日本の災害①

増える災害

2018年を表す漢字として選ばれた一文字は「災」。
これに象徴されるように、近年の日本の災害発生件数は増加の傾向にあります。

素早く情報を手に入れられるこの社会で、なぜ災害は減らないのでしょうか。

10年間に起こった災害

2011年3月、東北地方を中心にマグニチュード9.0の地震が発生しました。

10年が経過した今でも余震が起こるほどの大地震と、
かつてないほどの大津波の記憶は今でも鮮明ではないでしょうか。

地震が少ないと思われていた地域での地震や、
被災したばかりの土地へ降り注ぐ大雨もよく目にするようになりました。

直近10年で発生した災害を時系列で見てみましょう。


2011

東日本大震災
新潟・福島豪雨

2012

九州北部豪雨

2013

台風18号による大雨
台風26・27号

2014 

広島豪雨・土砂災害
御嶽山噴火

2015

桜島の火山活動
関東・東北豪雨
台風21号

2016

熊本地震
梅雨前線に伴う大雨
台風7・10・16号
茨城県北部地震

2017

栃木県那須町での雪崩
九州北部豪雨
台風18・21号

2018

霧島山噴火
大阪北部地震
7月豪雨
台風21号
北海道胆振東部地震
台風24号

2019

山形県沖地震
台風15・19号
台風21号による大雨

2020

7月豪雨

2021

福島県沖地震
和歌山県北部地震
宮城県沖地震


これ以前にはなりますが、1995年に発生した阪神・淡路大震災は、
戦後、東日本大震災に次ぐ被害がもたらされました。

地震のみならず、噴火や雪崩、台風や豪雨など、
毎年様々な災害によって、日本各地に被害が出ていることがわかります。

豪雨と地球温暖化

ここ数年特に、台風や豪雨による被害が大きくなっていますが、
これには理由があるのでしょうか。

近年増加傾向にあるのは、台風や大雨など気象現象による災害です。
これを気象災害と言います。

これに対し、地震や津波、火山活動による災害は地象災害と呼ばれています。

気象災害の増加の背景には地球温暖化の影響が大きいと考えられています。

温暖化で海水温が高くなってきている今、
海水から蒸発する水分量が増えることで、空気中の水分が増加します。

それにより必然的に降水量が増えているのです。

台風も巨大化しやすく、勢力を維持しやすい環境となります。
そのため、熱帯低気圧に変わるまでの時間が長くなり、その分被害が増えてしまうのです。

毎年のように「今年は異常気象だ」と耳にするようになったのは、
年々地球温暖化が進んでいるという環境問題と深く関わっているためと言えます。

河川の決壊の増加

雨の降り方が変化したことで、河川が耐えきれなくなり、決壊。
甚大な被害をもたらすことも度々報道されるようになってきました。

近年河川の決壊が増加している要因とは何なのでしょうか。

これも地球温暖化による降水量の増加が関係しています。

川の水位が急激に上昇し、上流部から下流部に流れるまでにも水量が増大します。
川の下流部というのは人々が暮らすエリアです。

そのようなエリアで河川が氾濫、決壊すると、
深刻な水害へと繋がってしまい、被害が大きくなるということなのです。

対策として、堤防の強化などが講じられてはいますが、
予想をはるかに超える豪雨に、それも追いついていない河川が多くあります。

地球温暖化によって、これまで緯度の低い地域で見られたような、
短時間の集中した雨が日本でも降るようになってきています。

日本でも緯度が高い北海道では、梅雨や台風のイメージはあまりありませんでした。

しかし、これまで北海道に辿り着くまでに勢力を弱めていた台風も、
最近では勢力を保ったまま接近することが発生しています。

今後は地球温暖化が進むとともに、さらに勢力の強い台風や豪雨が増えると考えられています。

予想外の規模にも負けないような、過去の実績に囚われない対策が求められているのです。



以上のように、日本の災害が増加傾向であるのは、地球温暖化に伴う気象災害の増加が一因であると言えます。

それらはこれまでにないほどの規模で日本列島を襲ってくるため、
近年では対策が追いつかない事態となっているのです。

一人一人の防災の意識づけが大切であると言われるようになってきたのには、このような背景があるからなのです。
時代の変化に合わせて新しい情報をアップデートし、未来に起こるかもしれない災害に備えるようにしましょう。

続いては、災害によって私たちの生活はどう変化しているのかを学んでいきましょう。